こんばんは。夜の兄貴ココアです。
今夜もこうして読みに来てくださって、ありがとうございます。 BGMは、ドビュッシーの「月の光」を小さめに。
この曲は、「ベルガマスク組曲」という4曲セットの中の3曲目です。もともとは1890年ごろに書きはじめられたのですが、ドビュッシーはなかなか納得がいかなかったようで、実際に出版されたのは15年ほどあとのことでした。 タイトルは、フランスの詩人ヴェルレーヌの詩「月の光」から取られたと言われています。月明かりの下で、仮面をつけた人たちが、楽しげなのにどこか寂しげに踊っている。そんな詩です。
楽しそうなのに、少しだけ寂しい。今夜のお話にも、ちょっと似ている気がします。 ココアの準備はできましたか?
さて、記念すべき第1回のテーマは、大人の恋愛。それも、夫婦の恋愛のお話です。
先日、Xを眺めていたら、ある投稿が目にとまりました。
40代の方で、夫婦仲はいいほうだと思う。休みの日は一緒に買い物に行くし、ケンカもほとんどしない。 でも、最後にドキッとしたのがいつだったか思い出せない。夜のことも、もう何年もない。 不満というほどではないけれど、このまま「同居人」になっていくのかと思うと、ときどき寂しくなる。
そんな内容でした。 読んだとき、思わずスクロールする手が止まったんですよね。これ、きっと同じように感じている人がたくさんいるだろうなと思って。
今夜は、この「いまさら、どう切り出せばいいんだろう」というお話を、ゆっくりしてみたいと思います。

「仲はいいのに、恋人じゃない」は、よくあること
まず最初に、お伝えしたいことがあります。 あの投稿のような状態は、決して珍しいことではありません。40代の夫婦なら、かなりの方が「わかる」とうなずくお話だと思います。
仕事が忙しい。子どもがいれば、毎日は子ども中心に回っていく。親のことも気になりはじめる。体力だって、20代のころとは違います。 そういう毎日を一緒に乗り越えていくうちに、夫婦は少しずつ「恋人」から「チームメイト」になっていくんです。
これは、悪いことではありません。 チームとしてちゃんと機能している、ということですから。ケンカもせずに毎日が回っているなら、それはおふたりが積み上げてきたものです。
ただ、チームメイトの顔ばかりになると、恋人としての顔を見せる場所がなくなってしまう。 ドキッとしないのも、夜のことが遠のくのも、どちらかが悪いからではないんです。その場所が、なくなっただけなんですね。
「冷めた」のではなくて、「しまいこんだ」。そう考えると、少しだけ気持ちが楽になりませんか。
切り出しにくいのは、責めているように聞こえるから
では、どうしてこの話は、こんなにも切り出しにくいのでしょうか。
理由は、だいたい3つあると思っています。
ひとつめは、相手を責めているように聞こえそうだから。 「最近ドキッとしない」も「最近してないよね」も、言い方しだいで「あなたのせいで」に聞こえてしまいます。相手を傷つけたくない人ほど、黙ってしまうんです。
ふたつめは、断られるのがこわいから。 勇気を出して言ったのに「いや、別に」で終わってしまったら。自分の気持ちごと否定されたような気がして、もう二度と言えなくなってしまう。
みっつめは、自分の気持ちを口にするのが恥ずかしいから。 長く一緒にいる相手ほど、いまさら「さみしい」とか「触れたい」とか言うのは、照れくさいものです。
どれも、相手を大事に思っているからこそのブレーキなんですよね。 だからこそ、この話は「勢い」ではなく「段取り」で切り出したほうが、うまくいきます。
話し合うときの、6つのコツ
ここからは、実践編です。全部やらなくて大丈夫。できそうなものを、ひとつだけ選んでみてください。
1. いきなり本題に行かず、「ときめき」の思い出から入る
いきなり「セックスレスについて話したい」は、さすがにハードルが高すぎます。言うほうも、聞くほうも身構えてしまう。
入り口は、昔の話がおすすめです。 「付き合いはじめのころ、どこに行ったっけ」「あのときのお店、まだあるかな」。 思い出話には、責める要素がひとつもありません。しかも話しているうちに、おふたりとも「恋人だったころの自分」を、少し思い出すんです。
本題は、その空気ができてからで十分。今日たどり着かなくても、かまいません。
2. 「あなたは」ではなく「わたしは」で話す
「あなたは最近、全然こっちを見てくれない」 「わたしは最近、ちょっとさみしいなと思っていた」
伝えたいことは、ほとんど同じですよね。でも、受け取る側の気持ちはまるで違います。
主語を「わたし」にすると、話が「相手への文句」から「自分の気持ちの報告」に変わります。報告なら、相手は言い返さなくていい。「そうだったんだ」と、そのまま受け取れるんです。
3. 場所と時間を選ぶ。寝る直前とベッドの上は避ける
意外と大事なのが、ここです。
寝る直前は、お互いに疲れています。それに、ベッドの上でこの話をすると「今から何か求められるのかな」というプレッシャーになりやすいんですね。
おすすめは、横に並んで座れる場所です。 散歩をしながら、ドライブ中に、ソファで同じ方向を向いて。 向かい合うと「話し合い」らしくなって緊張しますが、横並びなら目を合わせなくていいぶん、本音がこぼれやすくなります。

4. 1回で答えを出そうとしない
この話は、1回では解決しません。というより、しなくていいんです。
1回目のゴールは、「この話をしても大丈夫なんだ」とお互いに思えること。それだけで、もう十分すぎるくらいです。 「今日はここまでにしよう。話せてよかった」で終われたら、それは大成功。
次に話すときは、きっと今日より楽になっています。
5. 「するかしないか」ではなく「どうしたら心地いいか」で考える
セックスレスの話になると、どうしても「するか、しないか」の二択になりがちです。 でも、ふたりの間にある触れ合いって、本当はもっとグラデーションがあるんですよね。
手をつなぐ。出かけるときに、軽くハグをする。肩をもむ。ソファでくっついて映画を観る。
「最終的にどうするか」を決める前に、どこまでなら心地いいかを一緒に探すほうが、ずっと現実的です。 いきなり頂上を目指さなくていい。ふもとを一緒に歩くところから、始めてみてください。
6. 相手の「今は無理」を、自分への否定と受け取らない
これが、いちばん難しいかもしれません。
相手が乗り気でないとき、その理由はたいてい「あなたが嫌だから」ではありません。 疲れている、体調がいまいち、気持ちに余裕がない、自分の体に自信がない。理由は、相手の中にあることがほとんどなんです。
だから「今は無理」と言われても、そこで話を閉じないでほしいんです。 「そっか。じゃあ、どんなときならいいかな」と、ドアを半分だけ開けておく。それだけで、相手は次に話しやすくなります。
もちろん、断られたら落ち込みます。わたしだって落ち込みますよ。でも、その顔のまま「また今度ね」と笑えたら、それはもう大人の勝ちだと思うんです。
最初のひと言は、こんなふうに
それでも、いちばん重いのは「最初のひと言」ですよね。いくつか例を置いておきます。そのまま使っても、ご自分の言葉に直してもかまいません。
- 「最近ふたりでゆっくり話してないね。今度、散歩でも行かない?」
- 「付き合ってたころの話、なんか急にしたくなった」
- 「責めたいわけじゃないんだけど、ちょっとさみしいなと思うことがあって」
- 「もっとくっつきたいなって思ってるんだけど、どう思う?」
- 「すぐに何か変えたいわけじゃないの。ただ、話してみたかった」
ポイントは、「責めていない」ことと「答えを急いでいない」ことを、最初に伝えること。 これがあるだけで、相手の肩の力がずいぶん抜けるはずです。

体のことは、ひとりで抱えなくていい
40代になると、気持ちだけでなく、体の変化も出てきます。 痛みがある、思うように反応しない、気分が沈みやすい。そういったことが理由で、触れ合いから遠ざかっている場合もあります。
それは、努力や愛情の問題ではありません。体の変化で気になることがあれば、婦人科や泌尿器科で相談してみてください。ふたりの関係そのものに行き詰まりを感じているなら、夫婦カウンセリングという選択肢もあります。 専門家を頼るのは、ふたりの関係をあきらめていない証拠ですから。
今夜のまとめ
- 「仲はいいのに恋人じゃない」は珍しくない。冷めたのではなく、恋人の顔を出す場所がなくなっただけ
- 切り出すなら思い出話から。主語は「わたし」で、横並びで座れる場所を選ぶ
- 1回で答えを出さない。「するかしないか」より「どこまでなら心地いいか」を探す
冷めたココアも、あたため直せば、また飲めます。 しかも、あたため直したココアって、不思議と最初より少し甘く感じるんですよね。
焦らなくて大丈夫です。まずは今度のお休みに、散歩にでも誘ってみてください。